PRグッドデザイン賞を受賞した「Remember HOPE 浪板海岸ヴィレッジ(大槌アムウェイハウス)」が被災地のコミュニティを再生

2017年01月24日更新

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大槌アムウェイハウス_1

◆失われたコミュニティを取り戻すために

岩手県大槌町はサケ漁などの水産業が盛んで、豊かな産物と自然に恵まれた町だ。大槌湾にはNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとなった蓬莱島がある。しかし、東日本大震災で住宅地や市街地の半分以上が浸水し、住民の1割近くが犠牲になった。年月が経ち復興が進んでも、地域の人たちの憩いの場となる公共施設や、来訪者を誘致する施設まではなかなか手が及ばなかった。

そこで2015年12月、一般財団法人 日本アムウェイOne by One 財団は被災地域のコミュニティ再生を支援する「Remember HOPE 東北復興支援プロジェクト」の一環として、「Remember HOPE 浪板海岸ヴィレッジ(大槌アムウェイハウス)」を建設した。同施設は、コミュニティハウスの「大槌アムウェイハウス」のほか、サーフショップやカフェなど、地域の人が利用できるコミュニケーション施設だ。「今後も地域の人々が集い語らい合える場になるように」という願いが込められている。

さらに、サーフスポットとして賑わっていた浪板海岸の再生を目指して、地域の風土に根差しながらも復興活動との相乗効果が期待できる施設となるよう考慮して建築された。景観に合った材料を選び、復興の大動脈となる国道45号線から見て目印になるような施設を目指した。ウッドデッキのテラスは廊下の役割を果たす外部空間にし、棟と棟の間には部屋のような豊かな外部空間も作られるなど、高いデザイン性も当施設の特長だ。

 

◆水没したサーフショップの再スタート

大槌アムウェイハウス_2「Remember HOPE 浪板海岸ヴィレッジ(大槌アムウェイハウス)」は、道の駅のような施設を目指している。コミュニケーションスペースに加えて、イベント広場やカフェ、ショップやサーファー向けのシャワースペースの併設など、担う役割は多岐にわたる。

津波で失われた浪板海岸のサーフショップも、当施設で再スタートを切った。津波の第1波で店が水没し、基盤から全てなくなってしまったという。サーフショップオーナーの杉本氏は、海岸の再生を目指す地元有志のメンバーだ。震災直後は浪板海岸での再開を諦めかけていたが、当施設の建設予定を聞いてテナントエリアの入居を即決した。

震災前に比べて、サーファーや浜で遊ぶ家族の数は激減。ゆっくり過ごせるような砂浜もなくなった。しかし、当施設には芝生やトイレ、地産食材を使用したパスタやピザを提供するカフェ、パソコンやインターネット環境が整ったITコワーキングスペースまである。地元の人々の交流はもちろん、観光基盤にもなり得る期待の施設だ。

杉本氏は「この場所は、ふらっと立ち寄ると誰かがいて、一緒に楽しめる場所だった。だから、また浪板海岸にこの施設ができたことは本当に嬉しい」「みんなが元気になれるような場所を作れればいいなと願っています。特に浪板地域の奥で暮らしているお年寄りにアムウェイハウスのある場所まで気軽に来ていただいて、話をしたり、くつろいでほしいですね」と語った。再びゼロからのスタートを切った杉本さんの目線の先には、かつての活気を取り戻した浪板海岸が見えているのだろう。

 

◆グッドデザイン賞受賞を記念して「2016 Remember HOPE Reception」開催

こうして誕生した「Remember HOPE 浪板海岸ヴィレッジ(大槌アムウェイハウス)」は、2016年度のグッドデザイン賞を受賞した。短期間の設計施工一括発注という実務上の課題への対応と豊かな震災復興への解答の両立、美しい風景としての立ち上げ、そして道と海をつなぐ場として機能している点が評価された。

さらに、Remember HOPE同賞は、優れた社会的活動、広報、渉外活動に対して贈られる。長期的な社会貢献活動が評価対象となっており、審査委員長はRemember HOPEプログラムに対して「とても強い感銘をうけた。真に企業の価値観を体現しているものだ」とコメントした。

大槌アムウェイハウス_3

一般財団法人 日本アムウェイOne by One 財団は受賞を記念して、2016年12月13日に東京アメリカンクラブにて「2016 Remember HOPE Reception」を開催。約100名が参加する大盛況のイベントとなった。第1部のスピーチ・プレゼンテーションのあとには立食形式のレセプションが開かれ、さらに東北特別メニューやドリンクも提供されるなど好評を博した。大槌アムウェイハウス_4

同財団 評議員会長のピーター・ストライダム氏は「私たちは、コミュニティハウスを作ることを目的にしているわけではありません。コミュニティや人に投資し、希望を提供することに力を注いでいます。Remember HOPE今日この場で、ご来場の皆様と一緒に、東北の方々に対して、今後も支援を続けることをお約束します」と述べた。

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その後、同財団 代表理事のイ冬 嘉楓氏が「Remember HOPE 東北復興支援プロジェクト」のプレゼンテーションを行い、「震災復興には、コミュニティの再生が鍵です。課題解決の1つになればと考え、Remember HOPEプロジェクトをスタートしました。アムウェイハウスは地域のニーズに合わせて建築されており、1つ1つに特長があります。震災からもうすぐ6年が経とうとしていますが、アムウェイハウスの使われ方にも変化が見られ、最近は町を活性化しようとする狙いを込めた攻めの姿勢の変化が見られ、励みになっております」とコメントした。

大槌アムウェイハウス_6

 

◆形だけではない、真の復興を目指して

震災から6年が経ち、インフラ復旧が進んで災害公営住宅の建設にも見通しが立った。しかし住人が次々に離れ、被災地は地方が抱える人口減少課題の先進地となってしまった。住み慣れた土地を壊され従来のコミュニティを失った高齢者は、仮設住宅で引きこもりがちになった。形だけの復興ではなく本当の意味での復興を成し遂げるには、住民が積極的に外に出たくなるような、生き生きと暮らせるコミュニティが必要だ。

一般財団法人 日本アムウェイOne by One 財団は、今後も「被災者を決して忘れないこと」と「希望を届けること」を目的とした支援活動を続けていく。そして、当施設で見出すコミュニティ再生のノウハウは、被災地以外の地方にとっても良いヒントになるだろう。

 

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